第2回『テトテ✕コネクト』2021年(1)

今回は新しめのタイトル『テトテ✕コネクト』の第1回目です。稼働中タイトルでもあり、主にラジオでお話した内容+α、具体的には「自分で考えた内容」「どの会社でもありふれている手法」「ラジオ等で公開済の情報」での構成となるかと思います。

bayfm『A-LABO INDEX』の2020年3/3、3/10放送回

【特別インタビュー】株式会社タイトー 制作プロデューサー 手塚 忠孝様<前編> - YouTube

【特別インタビュー】株式会社タイトー 制作プロデューサー 手塚 忠孝様<後編> - YouTube

 

タイトル 『テトテ✕コネクト』
プラットフォーム 業務用ゲーム機

稼働開始日 2021年12月5日

ゲームジャンル リズムアクションゲーム(4人までの協力、チーム対戦プレイあり)

2023年現在のプレイ環境 全国のタイトーステーションラウンドワンで稼働中

『テトテ✕コネクト』公式サイトより

 

当時の市場と企画の成り立ち

2018年の春ごろ、あるVRゲームの企画が頓挫したため手が空いていた自分に、「業務用の新作音楽ゲームのプロデュースを」というオファーがあり、急遽立ち上がった企画です。そのためか、結果的にそれまでのVR研究の応用を随所に感じる内容に仕上がったかと思います。(後述予定)
市場環境としては、2018年はまだコロナ禍の前であり、ゲームセンターもまだ今ほど悪い経営環境ではありませんでした。店舗縮小の下げ止まりが見えていた他、特に音楽ゲームに関しては僅かながら市場拡大傾向でもありました。この企画時期にセガ『オンゲキ』、コナミ『ダンスラッシュ』が登場し、これらとの競合が想定されていたほどです。

本作制作中に制作が発表され、本作ロケテストとまったく同時期に稼働直前イベントを行ったマーベラスWACCA』も、おそらくは似たような市場認識の上で新規参入を果たしたものと思われます。

「アリエスの小部屋」テトテ×コネクトページ、およびWACCA公式サイトより


新たに音楽ゲームを作るにあたり、自分に業務用音楽ゲームの知見が一切ないことが最初のネックとなりました。当時の上司こそ伝説的な音楽ゲームPDであり、『グルーヴコースター』という先行プロジェクトもあったものの、すでに業務用音楽ゲームの歴史は20年以上に及んでおり、付け焼き刃の知識ややり込みで作った製品で10年20年選手であるプレイヤーを納得させるのは不可能です。
幸いタイトーには店舗運営部門があり、自らも音ゲープレイヤーでもある店舗スタッフの豊富な知見を提供してもらうことで、地域や立地、季節や曜日や時間帯などの諸条件にも目配せしたプレイヤー像や市場動向を掴むことができました。店舗スタッフには開発途中バージョンにも都度協力を依頼し、完成に至るまでの羅針盤の役割を果たしてもらっています。
彼ら彼女らの協力がなければ、特に「タッチパネル音ゲーのジンクス」に挑む最後の踏ん切りはつかなかったかもしれません。

ミーティングで使用した資料の一部


店舗スタッフとのヒアリングやミーティングを経た結果、「より体を動かす音ゲー」のニーズにフォーカスすることに決まり、その他新企画に必要な項目を採点表の形でまとめました。次に社内外から募ったゲーム企画をその採点表と突き合わせることで企画とニーズの整合性を確認、そこで最高点タイとなったのが本作『テトテ✕コネクト』の元になる企画です。
原案は現Gentle Giantsの小林帝久氏によるもので、「大画面タッチパネルで等身大のキャラクターと一緒にゲームをする」コンセプトは最初から完成していました。

等身大のパートナーが目前にいることで、自然に「より体を動かす」ことを実現できる見込みが立ち、ここからプロジェクトは具体的なゲーム開発フェーズに入ります。

 

当初の稼働開始は2019年を予定していましたが、実際の市場投入はそのさらに2年後、2021年の年末までずれ込むことになるとは、コロナ禍以前の当時、誰も想像していませんでした。

2019年6月のロケテストの様子を伝えるタイトー社内報より